2013年6月20日木曜日

電気温水器とエコキュートの電気使用量

原発の停止に伴い、電力各社で電気料金値上げが行われています。すでに値上げされたのが東京電力、関西電力、九州電力。現在申請中が東北、四国、北海道電力。家庭にとっては電気料金値上げはもちろん痛手なのですが、特に影響が大きいのはオール電化の家庭です。

各社の電気料金値上げの内容を見てみると、通常料金である従量電灯に比べ、オール電化料金、特に深夜料金の値上げ率が大きくなっています。関西電力の場合、従量電灯の値上げ率が300kWh超過分で約17%なのに対し、オール電化料金である「はぴeタイム」の夜間では8.52円/kWhが10.76円/kWhと約26%の値上げです。

関西電力: 電気料金の値上げ内容
従量電灯A
http://www.kepco.co.jp/s-ryoukin/kojin/menu/dento_a.html
はぴeタイム
http://www.kepco.co.jp/s-ryoukin/kojin/menu/hapie.html

ここで問題になってくるのが、深夜帯に利用する電気式の給湯器。電気でお湯を沸かす給湯器では主に電気温水器とエコキュートの2種類あります。電気温水器は従来型の給湯器で電気ヒーターでお湯を沸かします。エコキュートはヒートポンプ式給湯器で空気の熱を使いお湯を沸かすため効率がよく、電気温水器よりも電気の使用量は約3分の1と言われています。

電気温水器はエコキュートと比べて大幅に電気を使用し、その分電気料金も高くなるわけですが、まだ多くの家庭で使用されています。四国電力の資料によると、電気給湯器契約は2011年度末時点で41万4千口。このうち、省エネ性能が高い「エコキュート」の契約口数は約14万口。6割以上の家庭で効率が悪い電気温水器が現在も使われていると見られます。

四国電力 電気給湯器契約口数
http://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/fact/pdf/fy2013_factbook.pdf#page=6
エコキュートの口数
http://www.yonden.co.jp/energy/environ/data/pdf/data_all.pdf#page=11

実際にどれくらい電気使用量が違うのかを調べるため、enestudyでは2013年2月に愛媛県内にて電気温水器とエコキュートの家庭にて調査を行いました。

electric water heater vs heat pump


青色が電気温水器、赤色がエコキュートの家庭の消費電力です。測定は電力量モニター「はやわかり」を使用しました。給湯器だけではなく、家庭全体の消費電力です。

深夜帯の電気使用量増加が給湯器によるもので、エコキュートの使用電力が最大2.5kWなのに対し、電気温水器は約5.5kW。グラフを見ると差が大きいことが分かります。この日の電気使用量はエコキュートが約10kWh、電気温水器が約30kWhとなっています。電気料金を8円/kWhとすると、1日、1ヶ月の電気代は下記の通り。

エコキュート 約80円/日 約2400円/月
電気温水器 約240円/日 約7200円/月

エコキュートと電気温水器でその差は月に約4800円。電気料金の値上げでさらに差は大きくなります(26%値上げの場合、エコキュート 約3000円/月、電気温水器 約9000円/月 差額約6000円)。ただし、これは2月の測定なので給湯にかかるエネルギー(電気使用量)が最も大きくなる時期。年間では、調査対象家庭のデータから試算したところ、エコキュートと電気温水器の電気料金の差は値上げ前で約4万円/年、値上げ後で約5万円/年となりました。(家庭のお湯の使用状況で電気使用量・電気料金は大きく変わります)

エコキュートは電気温水器と比べて設備費用が高いとされていますが、普及に伴い、価格は下がってきました。


また、以前は井戸水での使用が出来なかったのですが現在は各メーカーで井戸水対応が強化されています(要水質検査)。太陽熱温水器併用型のエコキュートも登場しています。

矢崎エナジー 太陽熱集熱器対応型エコキュート「エコキュート・ソーラーヒート」
http://solar.yazaki-group.com/product/ecocute.html

また、すでにエコキュートを使用している家庭でも、設定や使用方法で節電できる可能性があります。

ダイキン エコキュート節電術
http://www.daikinaircon.com/sumai/alldenka/ecocute/setsuden/index.html
関西電力 エコキュートの省エネ方法
http://www.hapielife.com/ecolife/hotwaterheater.html

節電・省エネが大きな関心を集めてきていますが、意外と見落とされているのが給湯器。値上げ率も大きく、使用量も高い給湯器は光熱費削減の効果も大きくなります。これを機に給湯器の省エネ化も検討してはいかがでしょうか?


関連ページ
電気温水器からエコキュートへの入れ替え後、1年間の節電結果
http://www.news.enestudy.com/2015/11/1.html
電気温水器からエコキュートへの入れ替えによる節電効果
http://www.news.enestudy.com/2014/11/blog-post.html
電気代の上昇について(値上げ、燃料費調整、再エネ賦課金)
http://www.news.enestudy.com/2014/02/blog-post.html
エネルギーの価格 (灯油、都市ガス、プロパンガス、電気)
http://www.news.enestudy.com/2013/11/blog-post.html
四国電力の値上げについて(通常料金とオール電化)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/blog-post.html

2 件のコメント:

  1. エコキュート、年間4万円くらいの節約になるんですね。
    20万円といえば高額ですが、5年で元が取れるなら変えたほうが良いですね。
    とは言え、そうは言ってもなかなか踏み出せないのが人情というものでです。ESCO的な手法が広がって、無料で設備導入出来るようにならないもんでしょうか。

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  2. のんきさん、コメントありがとうございます。

    エコキュートと電気温水器の差額は大きいです。
    少なくともレンタルの電気温水器はエコキュートに買い替えをお勧めします。
    (四国電力管内ではレンタル分も多いようです)

    ただ、なかなか踏ん切りがつかないというのもよく分かります。省エネ、光熱費削減効果が大きいのでESCO事業も可能かもしれません。また、電気温水器からエコキュートへの買い替えに限り補助金やポイントを支給する(新規購入は対象外)というのも効果的だと思います。

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