2015年1月19日月曜日

エコキュートによる騒音問題について

エコキュートの音、健康被害に関与の「可能性高い」
消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は隣家に設置された家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の発する低周波音で不眠や頭痛の症状が出たとする群馬県在住の夫妻の申し出に対して、「給湯機の運転音が申し出者の健康症状の発生に関与している可能性が高い」との報告書をまとめた。経済産業省などに対して、2014年12月19日に再発防止に向けた対策を求めた。
日経新聞2014年12月25日http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81261880U4A221C1000000/

消費者庁から、エコキュートによる運転音・振動による健康被害の事故等原因調査報告書が公表されました。

消費者庁 家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案事故等 原因調査報告書
概要 http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/2_houkoku_gaiyou.pdf
本文 http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/2_houkoku_honbun.pdf
意見 http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/2_iken.pdf

ヒートポンプ給湯器「エコキュート」は主にオール電化等の夜間の割安な電力でお湯を沸かすというもの。当コラムでも紹介しているように、従来型の電気温水器に比べ、約1/3の電気使用量と省エネ性能に優れています。その反面、ヒートポンプでお湯を沸かす過程で圧縮機、送風機から音が発生します。エアコンの室外機と原理は同じ。ただ、エコキュートは周りが静かな深夜に動作するため、騒音等の問題が発生する可能性がより大きくなります。

ヒートポンプ給湯器の概略図

報告書概要よりhttp://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/2_houkoku_gaiyou.pdf

業界団体である日本冷凍空調工業会は騒音防止のための据付けガイドブックを発行しています。

日本冷凍空調工業会「騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」
http://www.jraia.or.jp/download/e-book/Set_Gb/e-book_SetGB.pdf

上記ガイドブックでは、「隣接するご近所様の寝室の傍は避ける」とされていますが、消費者庁の報告書ではこのガイドブックの認知度は「電器店及び電気工事業者では約2割、工務店及びハウスメーカーでは約3割であり、普及が不十分である状況」となっています。

そのほか、報告書の要点は下記のとおり。

○ヒートポンプからの卓越周波数はいずれも20Hz以上の可聴域の低周波音。
○設置と健康症状の発生との間に時間的な関連が認められた。
○個人の気質(神経質等)との関連性は認められなかった。
○設置場所までの距離が健康症状の有無に対し有意であった。

せっかくの省エネ機器でも騒音被害をもたらしては意味をなしません。ご近所との関係が悪化する可能性もあります。据え付けガイドブックを活用し、隣家から極力距離を離して設置するようお願いいたします。


関連ページ
日本冷凍空調工業会  家庭用ヒートポンプ給湯機
http://www.jraia.or.jp/product/heatpump/index.html
「騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」
http://www.jraia.or.jp/download/e-book/Set_Gb/e-book_SetGB.pdf

当コラム内
電気温水器からエコキュートへの入れ替えによる節電効果
http://www.news.enestudy.com/2014/11/blog-post.html
電気温水器とエコキュートの電気使用量
http://www.news.enestudy.com/2013/06/blog-post.html
四国電力の値上げについて(通常料金とオール電化)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/blog-post.html
電気代の上昇について(値上げ、燃料費調整、再エネ賦課金)
http://www.news.enestudy.com/2014/02/blog-post.html
エネルギーの価格 (灯油、都市ガス、プロパンガス、電気)
http://www.news.enestudy.com/2013/11/blog-post.html

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