2016年7月4日月曜日

小型風力発電への投資について

固定価格買取制度(FIT)は高い買取価格と一括償却などの税金対策として太陽光発電への投資がブームとなりました。しかし、太陽光の買取価格は年々下がり、発電抑制、分割禁止、グリーン投資減税の対象除外など太陽光への投資は下火となってきています。これに伴い、増えてきているのが分譲型小型風力発電です。

小型風力の買取価格は55円/kWh
グリーン投資減税対象
設備利用率が高い
利回り○%

などと宣伝されています。買い取り価格が高く、グリーン投資減税対象というのは本当ですが、設備利用率は利回りはどうでしょうか?

小型風車は大型風車と同様に、風がなければ発電しません。一般的には風力発電の適地は平均風速5m/s以上の地点が候補となりますが、日本の街中などではこのような地点はほとんどないでしょう。また、小型風車はハブ高さが10数メートルと大型の風車と比べて低くなっています。風は上空ほど強くなるので、高さが低いということは発電には不利です。

よく風の強さの参考として示されているNEDO局所風力マップは地上高30、50、70mでの風況であり、小型風車の設置高ではこれよりも大幅に低くなる可能性があります。

NEDO局所風況マップ 表示内容について
http://app8.infoc.nedo.go.jp/nedo/content.html

太陽光発電と違って、小型風力ではこのNEDO風況マップ等からの発電量シミュレーションはほとんど役に立ちません。必ず、実機での実測データを確認するようにしてください。

また、FITでの売電事業では20年という長期に渡って継続して発電することを前提として利回りが計算されています。メンテナンス体制はどうなっているか?メンテナンスが20年間継続できるか?発電量保障はあるか?故障時や事故の際の保障はあるか?など、確認が必要な点は多くあります。

投資全般に言えることですが、小型風力への投資にはリスクがあります。小型風力への投資を考える際には十分に情報収集と検討・確認を行うようお勧めします。


追伸:
小型風車に関しては実機での発電量のデータがほとんど公開されていません。日本の小型風車で設備利用率が10%を超えた例があれば教えてください。


関連ページ
神奈川県:小型風力及び太陽光発電装置の発電量調査(pdf)
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/550020.pdf
風レンズ風車発電 実証実験 福岡市、今年度で撤退 14年の羽根破損を機に、発電量も少なく/福岡
http://mainichi.jp/articles/20160126/ddl/k40/020/375000c
つくば市回らない風車問題
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/3812224161e14fa66a9247e394f11102

当コラム内
固定価格買い取り制度・FIT
http://www.news.enestudy.com/search/label/%E5%9B%BA%E5%AE%9A%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E8%B2%B7%E5%8F%96%E5%88%B6%E5%BA%A6%EF%BC%88FIT%EF%BC%8

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