2013年7月22日月曜日

熱中症:道路の熱にも注意 6畳間でストーブ10台分

真夏に日なたで道路を歩いているときに受ける熱は、6畳間で電気ストーブ10台をつけているのと同程度−−。環境省は19日、こんな試算を公表し、屋外では壁や路面の熱にも注意し、木陰を選んで歩くなどの熱中症対策を呼びかけた。
2013年07月20日毎日新聞http://mainichi.jp/select/news/20130720mog00m040009000c.html


前回の記事、「暑さ対策には日射遮蔽から!」の中で、「真夏の日射量は地表面で最大約800W/m2、小型ストーブ1台分に相当」と書きましたが、環境省からより詳しい試算が出ました。

環境省:猛暑に対する街なかでの対応方策について(気温だけでなく、日射や路面からの熱にも注意!)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16924

ポイントは、

人は気温だけでなく、街なかの放射熱(日射や路面からの熱)によって暑さを感じること。

日向と木陰で気温は変わらないものの、木陰の方が涼しく感じる。これは日向では、頭上からの日射に加え、50℃近くに高温化した歩道や車道からの放射熱が足元を包み込むため。気温だけではなく、「放射熱」を考慮する必要があるということです。

また、道路上で放射熱量を計算したところ、900W/m2近くになったとしています。

受熱量にして900W/m2とは、6畳程度の部屋に1,000Wの電気ストーブを約10台使用したときに人が受ける正味の熱量に相当。

と。ここでいう電気ストーブとは下記のような製品↓

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山善(YAMAZEN) 電気ストーブ(800W/400W 2段階切替) ホワイト DS-D083(W)
山善(YAMAZEN) 電気ストーブ(800W/400W 2段階切替) ホワイト DS-D083(W)

こちらは最大で消費電力(=発熱量)800W。日向の道路上ではこれが1m2に1台以上付いているという状態。6畳間(約10m2)では約10台を同時に使用した時に人が受ける熱量に相当ということです。



この状態で運動などをすると熱中症になるのも当然と言えます。

また、住宅の暑さ対策でもこの「放射熱」が影響しています。室内への直接の日射侵入だけではなく、住宅周辺のベランダや駐車場、壁などが温められて高温化、この「放射熱」も暑さを感じる要因となります。木陰を作る木を植える、オーニングやヨシズなどの日よけの設置で、路面や壁面の温度上昇を防ぐことが重要です。

また、コンクリートやアスファルトは熱を溜め込む性質があり、日の入り後もなかなか温度が下がりません。夕方以降、日陰になった時間に打ち水をすることで溜め込んだ熱を冷ます効果が期待できます。(日の当たる時間帯ではどんどん熱が補給されている状態なので効果が長続きしません)


関連ページ

環境省:猛暑に対する街なかでの対応方策について(気温だけでなく、日射や路面からの熱にも注意!)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16924
暑さ対策には日射遮蔽から!
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post_18.html
環境情報科学センター:こかげプロジェクト・こかげが涼しい科学的なわけ
http://www.ceis.or.jp/rsd/kokage/reason.html
国土交通省・ヒートアイランドポータルサイト
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_mn_000016.html

「実生活下における住宅の室温調査」報告書
http://www.enestudy.com/2013/07/blog-post_11.html

環境省:熱中症予防情報
http://www.wbgt.env.go.jp/
各地域の暑さ指数(WBGT)の予測値と現在値を公開しています。

NEDO 日射量データベース閲覧システム
http://app7.infoc.nedo.go.jp/
季節、時間帯、方位、角度別の日射量が閲覧できます。

2013年7月18日木曜日

暑さ対策には日射遮蔽から!

梅雨も早々に明け、猛暑まっさかりです。
毎日のように35度近くまで最高気温が上がり、熱帯夜も続いています。熱中症対策にもエアコンの適切な利用を推奨されているように、節電・省エネもなかなか厳しい時期です。

暑さ対策の情報も豊富になってきていますが、ここで強調したいのはとにかく「日射遮蔽」です!

真夏の日射量は地表面で最大約800W/m2になります。これは小型の電気ヒーター1台分に相当。1m2につき、これだけの熱量が降り注いできているわけで、日射をそのまま室内に入れてしまうと室温はその分上がります。

太陽の日射は空気をそのまま暖めるというよりも物に当たることで熱を発します。窓のガラスは日射自体をさえぎる効果はあまりありません。日射が室内に入ると、カーテン、壁、床などに当たり、熱(赤外線)を発します。なので、日射遮蔽は窓の外側が基本。室内側でカーテンなどで遮蔽をしようとしてもカーテン自体が熱を持ってしまいます。どうしても室内側で遮蔽したい場合は反射素材のカーテンなどの使用を。

ペアガラスなど断熱性能の良い家も要注意。ペアガラスでも日射(可視光線)は通してしまい、室内で熱を発します。断熱性能がよいため、外に熱が逃げにくく、余計に室温が高くなる結果となります。断熱性能が良い家ほど日射遮蔽をしっかりと。

また、窓のすぐ外の地面やベランダは非常に暑くなります。窓を開けるとこの温まった空気が室内に入ってきてしまいます。アスファルトの上は60℃程度まで上がることも。



日よけは出来るだけ広く設置し、地表面の温度を低く保つと効果的です。すだれよりも日陰部分が広くなるヨシズ、オーニングなどがお勧め。



さらに忘れがちなのは、北側の窓の日よけ。夏場は日の出入りが北寄りになるため、朝夕は北側にも日が当たります。北側の窓もしっかり日よけを。


科学技術振興機構 宇宙・天文まめ知識より
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0320a/contents/chishiki/answer02/

まだまだ暑さは続きます。コストや効果を考えると日射遮蔽が一番!最近はホームセンター等で様々な日よけグッズが販売されています。ぜひお気に入りの日よけを探してみてください。


参考
「実生活下における住宅の室温調査」報告書
http://www.enestudy.com/2013/07/blog-post_11.html
NEDO 日射量データベース閲覧システム
http://app7.infoc.nedo.go.jp/



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2013年7月8日月曜日

再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング


再生可能エネの計画認定、放置なら取り消しも 経産省
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803Z_Y3A620C1PP8000/
経済産業省は28日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、国から発電計画の認定を受けた事業者がいつまでも発電を始めない場合は認定を取り消す方針を明らかにした。早めに認定を受けて有利な条件だけを確保し、実際にはしばらく放置して建設費の値下がりを待つ事業者が相次いでいるため。
2013/6/28 日経新聞 


先日のコラム「再生可能エネルギーの導入・認定状況」で、固定価格買い取り制度の認定容量は見込みより大幅に多いものの、実際に運転開始された設備は少ないと書きました。これに関連して経済産業省は、設備の設置を行わず放置している事業者の認定を取り消す方針とのこと。

そもそもなぜこんなことになったのか。これには買取価格を決定する時期に原因があります。

経済産業省:再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(平成24年10月)
価格適用について(例:2012fyの価格適用期限)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/2012setsumeikai.pdf#page=35


(画像クリックで大きく見られます)

現在の制度では、買取価格は「接続契約に係る申込みの書面を電気事業者が受領した時」又は「国の設備認定時」のいずれか遅い時点で決まります。2013年3月までは非住宅用太陽光発電の買取価格は42円/kWh(税込み)でしたが、 4月からは37.8円/kWhに下がりました。この場合、2013年3月末までに認定を取り、電力会社に接続の申し込みを行えば、42円の買取価格が保障されます。着工や運転開始時期に制限は設けられていません。また、発電設備や計画時点での転売もOK。

日本での固定価格買取制度が始まるに当たり、42円/kWhの買い取り価格は国際的に見ても非常に高いという感想があちこちで聞かれました。この価格はすぐに引き下げられるということも共通認識。しかも運転開始時期に制限がないため、とりあえず初年度のプレミア価格を確保しようと認定バブルが生じたと言えます。

発電設備の導入費用は普及とともに下がることが確実ですので、着工時期を遅らせることでコストを削減することができる。また、もともと転売目的で認定を取得した業者もいるようです。

現状では、制度の趣旨である再生可能エネルギーの普及とは関係なく、マネーゲームの対象になってしまったようです。経済産業省の認定取り消し方針は、制度の不備は早急に見直そうという意思表明。「裏技」はすぐに封じられてしまいます。しっかり発電する設備を作り、長期間にわたって収益を確保する正攻法をお勧めします。


関連ページ
実現しない発電所構想が続出 太陽光「2年目」の課題(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200E_S3A620C1000000/
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

2013年7月1日月曜日

再生可能エネルギーの導入・認定状況(2013年2月末時点)

昨年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度開始からちょうど1年が過ぎました。メガソーラーを中心に再生可能エネルギーの導入計画のニュースが毎日のように報道されていますが、実際の状況はどうなのでしょうか?経済産業省で公開されているデータ(2012年2月末時点が最新)から導入・認定状況を整理してみます。


再エネ設備認定状況
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
2012年2月末時点
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201302setsubi.pdf

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度開始後の導入・認定状況(種類別、推移)


固定価格買い取り制度開始前(2011年末時点)では、小水力発電が960万kWでトップ。続いて住宅用太陽光(10kW未満)440万kW、風力260万kW。2012年度の導入量(2月末まで)は住宅用太陽光が113.7万kW、非住宅用太陽光(10kW以上)が42.2万kW。その他の種別はほとんど導入量はありません。認定容量では、非住宅用太陽光の1101.2万kWが際立っています。

制度開始後の認定、導入状況の推移


導入量は2012年12月12月からのグラフとなっています。(これ以前に公表された数値が大きく修正されたため)
認定容量が時間の経過とともに大きく伸び、認定容量は2月末時点で1305.9万kWとなりました。しかし、実際に運転開始となったのは166.2万kWと約13%にすぎません。

再生可能エネルギーの発電施設導入には計画から工事、運転開始まで一定の時間がかかるという点を考慮に入れる必要がありますが、現状の導入量の低さにはどの時点で買取価格が決まるかという制度の問題があります。これについてはまた次回。


関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
再生可能エネの計画認定、放置なら取り消しも 経産省 (日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803Z_Y3A620C1PP8000/