2013年7月8日月曜日

再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング


再生可能エネの計画認定、放置なら取り消しも 経産省
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803Z_Y3A620C1PP8000/
経済産業省は28日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、国から発電計画の認定を受けた事業者がいつまでも発電を始めない場合は認定を取り消す方針を明らかにした。早めに認定を受けて有利な条件だけを確保し、実際にはしばらく放置して建設費の値下がりを待つ事業者が相次いでいるため。
2013/6/28 日経新聞 


先日のコラム「再生可能エネルギーの導入・認定状況」で、固定価格買い取り制度の認定容量は見込みより大幅に多いものの、実際に運転開始された設備は少ないと書きました。これに関連して経済産業省は、設備の設置を行わず放置している事業者の認定を取り消す方針とのこと。

そもそもなぜこんなことになったのか。これには買取価格を決定する時期に原因があります。

経済産業省:再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(平成24年10月)
価格適用について(例:2012fyの価格適用期限)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/2012setsumeikai.pdf#page=35


(画像クリックで大きく見られます)

現在の制度では、買取価格は「接続契約に係る申込みの書面を電気事業者が受領した時」又は「国の設備認定時」のいずれか遅い時点で決まります。2013年3月までは非住宅用太陽光発電の買取価格は42円/kWh(税込み)でしたが、 4月からは37.8円/kWhに下がりました。この場合、2013年3月末までに認定を取り、電力会社に接続の申し込みを行えば、42円の買取価格が保障されます。着工や運転開始時期に制限は設けられていません。また、発電設備や計画時点での転売もOK。

日本での固定価格買取制度が始まるに当たり、42円/kWhの買い取り価格は国際的に見ても非常に高いという感想があちこちで聞かれました。この価格はすぐに引き下げられるということも共通認識。しかも運転開始時期に制限がないため、とりあえず初年度のプレミア価格を確保しようと認定バブルが生じたと言えます。

発電設備の導入費用は普及とともに下がることが確実ですので、着工時期を遅らせることでコストを削減することができる。また、もともと転売目的で認定を取得した業者もいるようです。

現状では、制度の趣旨である再生可能エネルギーの普及とは関係なく、マネーゲームの対象になってしまったようです。経済産業省の認定取り消し方針は、制度の不備は早急に見直そうという意思表明。「裏技」はすぐに封じられてしまいます。しっかり発電する設備を作り、長期間にわたって収益を確保する正攻法をお勧めします。


関連ページ
実現しない発電所構想が続出 太陽光「2年目」の課題(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200E_S3A620C1000000/
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

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