2013年12月4日水曜日

住宅の熱ロスを見える化(サーモカメラの画像)

住宅の熱ロスが分かるサーモカメラの画像のご紹介。


撮影、画像提供 トヨダヤスシ建築設計事務所 http://www.t-sakan.com/




戸の隙間から冷気が入っているのが分かります。



暖房便座はふたを開けると熱が逃げていってしまいます(白色が最も高温)。



煙突からも放熱。



画像左奥に空気集熱器のダクトがあります。サーモカメラの画像では熱が逃げていることが分かります。

このように画像で見ると、どこから冷気が入っているのか、熱が逃げているのかよく分かります。室内に冷たい空気が入らないよう、また、暖かい空気を逃がさないように隙間をふさぎ、断熱することが重要です。3回目となる節電の冬がやってきました。熱ロスを減らし、無理のない省エネ・節電をめざしましょう!


関連ページ
土壁の家専門設計 トヨダヤスシ建築設計事務所
http://www.t-sakan.com/
FLIR 建築物診断用赤外線サーモグラフィガイドブック
http://at.azbil.com/mt/product/pdf/Building_Guidebook_JP_ys.pdf


関連商品

2013年11月22日金曜日

再エネ固定価格買取制度の導入・認定状況(2013年7月末)

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の2013年7月末時点の導入・認定状況が経済産業省から公開されました。

経済産業省:再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25年7月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201307setsubi.pdf

前回(2013年6月末時点)での導入状況について、「発表数字の一部に技術的な問題による誤り」があったとして訂正されています。

「固定価格買取制度導入後(平成25 年度(4 月~6 月末)」の数値
太陽光(非住宅) (誤)141.6 万kW → (正)129.2 万kW
バイオマス (誤) 6.8 万kW → (正) 6.7 万kW
合計 (誤)189.7 万kW → (正)177.1 万kW

このコラムで記事にした6月末時点のグラフは訂正前のものですのでご注意ください。

さて、7月末時点のデータを元にグラフを更新しました。

種類別・再生可能エネルギー固定価格買い取り制度開始後の導入・認定量(2013年7月末時点)

(クリックで大きく見られます)

全認定容量2360.8万kWのうち、非住宅用太陽光(10kW以上)が2031.7万kW(86%、前月比+56.2万kW)で突出している状況は変わらず。固定価格買取制度開始後の再エネ導入量は408.6万kWです。

再生可能エネルギーの累積認定・導入量比較(2012年7月~)

(クリックで大きく見られます)

7月の認定量は69.3万kW。導入量は54.6万kW。認定量、導入量ともに3月以降ほぼ一定のペースで増えています。

非住宅用太陽光(10kW以上)の単月認定・導入量推移(2012年7月~)

(クリックで大きく見られます)

認定量の86%を占める非住宅用太陽光。7月の認定量は56.2万kWで4、5月と比べて増加しました。導入量は6月分が訂正されています。6月の導入量は33.1万kW、7月は39.9万kWです。導入量は認定量の約12%。認定量に比べ、導入量が大幅に低いという状況は変わりません。

経済産業省は認定を取得したものの、着工を意図的に遅らせるなど悪質なケースでは認定を取り消すとしています。

メガソーラー稼働12%…悪質なら認定取り消し
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131118-OYT1T01609.htm

7月末時点の認定容量のデータでは、認定取り消しは行われたようには見えません。今後の動向に注目です。



関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

当コラム内
固定価格買取制度(FIT)、認定・導入状況
http://www.news.enestudy.com/search/label/%E5%9B%BA%E5%AE%9A%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E8%B2%B7%E5%8F%96%E5%88%B6%E5%BA%A6%EF%BC%88FIT%EF%BC%89

2013年11月13日水曜日

エネルギーの価格 (灯油、都市ガス、プロパンガス、電気)

家庭用のエネルギーとしては、電気、ガス、灯油などがあります。それぞれに用途や価格は異なりますが、エネルギーの価格としてはどのくらいなのか計算してみます。

エネルギーの単位について(kWとkWh)」でも書きましたが、J(ジュール)、cal(カロリー)、電気に使われるkWh(キロワット時)などの単位はこれらは「エネルギー量」として、変換して比べることができます。

1cal=4.184J
W=J/s
Wh= W x h = J/s x 3600s = 3600J
1kWh=3.6MJ

ここでは発熱量の単位をMJで統一して比較します。

(ガス、電気などの料金は地域や会社・契約内容によって大きく異なります。今回は上の表の価格と仮定して計算しています)

1MJ当たりのエネルギー価格が最も高いのが電気の通常料金。ヒートポンプではない電気温水器や電気暖房機器を通常料金で使うということは他のエネルギー源と比較して割高に。灯油と電気の深夜料金はほぼ同等。

ただし、1のエネルギーで3の熱を得ることができるヒートポンプ(cop3)のエアコンや給湯器の場合、同じ熱量を得るのに1/3の価格で済むことになります。この場合、電気の深夜料金は際立って安い(保温等を考えない場合)。

参考
電気温水器とエコキュートの電気使用量
http://www.news.enestudy.com/2013/06/blog-post.html

繰り返しになりますが、電気・ガスなどの価格は地域等により大きく異なります。また、電気代の値上げなどのようにエネルギー状況により大きく変化することも。省エネと光熱費削減は必ずしも一致しないということも考慮する必要があります。



2013年10月10日木曜日

再エネ固定価格買取制度の導入・認定状況(2013年6月末)

2013年11月21日追記:経済産業省から2013年6月末の導入量が訂正されました。
再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25年6月末時点)【11月18日差し替え】
http://www.meti.go.jp/press/2013/10/20131004003/20131004003.html

このページのグラフは訂正前の数値を使っていますのでご注意ください。
7月末時点のグラフはこちら→2013年7月末時点: 再エネ固定価格買取制度の導入・認定状況
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再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の2013年6月末時点の導入・認定状況が経済産業省から公開されました。

経済産業省:再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25年6月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201306setsubi.pdf

このデータを元にグラフを更新しました。

前回(5月末時点)のグラフはこちら↓
http://www.news.enestudy.com/2013/08/20135.html

種類別・再生可能エネルギー固定価格買い取り制度開始後の導入・認定量(2013年6月末時点)

(クリックで大きく見られます)

全認定容量2291.5万kWのうち、非住宅用太陽光(10kW以上)が1975.5万kW(86%、前月比+38.5万kW)で突出しています。 これに対し、運転開始に至った設備(導入量)は212万kW(前月比+45.5万kW)で、認定量の約1割にすぎません。バイオマスの導入量は6月に3万kW増え、10.4万kWになりました。

再生可能エネルギーの累積認定・導入量比較(2012年7月~)

(クリックで大きく見られます)

6月の認定量は54.3万kW。3月の803万kWをピークに急減しました。また、導入量もペースは上がっていません。6月の導入量は61.7万kW。内訳は、住宅用太陽光13.1万kW、非住宅用太陽光45.5万kW、バイオマス3万kW、風力0.1万kWです。

非住宅用太陽光(10kW以上)の単月認定・導入量推移(2012年7月~)

(クリックで大きく見られます)

認定量の86%を占める非住宅用太陽光。3月までの認定ラッシュ以降、単月認定量は大幅ダウン。導入量も認定量に比べまだ非常に少ない状態です。今後導入量がどのように推移するか。注目です。


関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入・認定状況(2013年5月末)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/20135.html
再生可能エネルギーの導入・認定状況(2013年2月末時点)
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post.html

リーガル固定価格:ついに来た経済産業省の「報告の徴収」
http://www.kankyo-business.jp/column/005839.php
2013年9月中旬に経済産業省から再生可能エネルギーの固定買取制度の設備認定取得者(400kW超)に一斉に「報告の徴収」が送付された。

2013年9月17日火曜日

エネルギーの単位について(kWとkWh)

原発の停止、再生可能エネルギーの拡大、電気料金値上げとエネルギー関連の報道が増えています。この中で、kW(キロワット)とkWh(キロワット時)が混乱している例が多く見受けられます。

熱や電力の単位としては、ガスや灯油に使われるJ(ジュール)、cal(カロリー)、電気に使われるkWh(キロワット時)があります。これらは「エネルギー量」として、単位を変換して比べることができます。

cal(カロリー)という単位は水1gの温度を1℃上げるために必要なエネルギーとして学校で習っていましたが、SI単位系では使われません。これはエネルギー量の単位であるJ(ジュール)に変換します。

1cal=4.184J

消費電力、発電などで使われるW(ワット)はJ(ジュール)を時間(秒)で割ったもの。瞬間的な出力となります。

W=J/s

瞬間値のW(ワット)に時間(h)をかけると積算値Wh(ワット時、ワットアワー)になります。Whは電力量の単位として使われています。電気料金明細書に記載されているのもWh。

W(ワット) x h(時間) = Wh(ワット時)

1時間(h)=3600秒(s)なので、1Wh=3600Jになります。接頭単位k(キロ)は1000という意味。

Wh= W x h = J/s x 3600s = 3600J
1kWh=3.6MJ

このW(ワット)とWh(ワット時)はニュースや新聞等でもよく混乱して報道されていますが、速度と距離の関係と考えると分かりやすいかと思います。
W(ワット)は瞬間値で速度(km/h)に相当。Wに時間をかけるとWxh=Wh(ワット時)で積算値の距離kmに相当します。

W x h = Wh
km/h x h = km

消費電力100Wの機器を5時間使用した場合の電気使用量は

100W x 5h = 500Wh

電気料金単価が24円/kWhの場合、上記の電気料金は

500Wh x 24円/kWh = 0.5kWh x 24円/kWh = 12円 

このように、電気料金や太陽光発電の買い取り金額はエネルギー量であるkWhにかかります。
また、アンペア契約の場合は、瞬間値である最大出力(W)によって基本料金が変わることになります。

W = V(ボルト) x A(アンペア)

10A契約の家庭で一度に使用できる消費電力Wは?

10A x 100V = 1000W

この1000Wを超えるとブレーカーが落ちてパチっと電気が止まってしまいます。このことからもW(ワット)が瞬間値ということがよく分かる瞬間です。

2013年9月5日木曜日

四国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度・導入認定状況

前回、日本全体での再生可能エネルギー固定価格買い取り制度導入・認定状況を掲載しましたが、今回は四国4県の状況をまとめてみました。

引用元
経済産業省:再生可能エネルギー発電設備の導入状況(5月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201305setsubi.pdf

四国四県の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度・発電種別認定容量(2012年7月~5月末現在)

(クリックで大きく見られます)

認定量では、非住宅用太陽光が愛媛で全体の約85%。香川、徳島では90%を越えています。高知県は風力、バイオマスの認定量が大きくなっています。


四国四県の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度・発電種別導入容量(2012年4月~2013年5月末現在)

(クリックで大きく見られます)

導入量では、愛媛のバイオマス6600kW、高知の水力75kW以外は全て住宅用・非住宅用太陽光。


四国四県の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度・認定・導入容量比較(2013年5月末現在)

(クリックで大きく見られます)

認定量と導入量の比較では、日本全体の傾向と同様、認定容量に対して導入量が非常に低くなっています。四国全体では導入量は認定量の約18%。最も導入比率が高い香川で約25%。最も低い高知では約14%。

四国内でも、各県で再生可能エネルギー整備計画の発電種別や認定量、導入量が異なることが分かります。認定容量のどの程度が実際に整備されるのか。今後の動向に注目です。



関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

当コラム内
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入・認定状況(2013年5月末)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/20135.html
再生可能エネルギーの導入・認定状況(2013年2月末時点)
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post.html
再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post_8.html

2013年8月22日木曜日

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入・認定状況(2013年5月末)

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の最新の導入・認定状況が経済産業省から公開されました。

経済産業省:再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(5月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201305setsubi.pdf

今回は3、4、5月の3ヶ月分のデータを同時公開です。このデータを使ってグラフを更新しました。

2013年2月末時点でのグラフはこちら↓
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post.html

種類別・再生可能エネルギー固定価格買い取り制度開始後の導入・認定量(2013年5月末時点)
new installed renewable capacity Japan

(クリックで大きく見られます)

5月末で非住宅用太陽光(10kW以上)の認定容量は1937万kWと突出して高くなっています。これに対し、すでに運転開始した設備は166.7万kWで約9%。

再生可能エネルギーの累積認定・導入量比較(2012年7月~)

(クリックで大きく見られます)

認定量は2013年3月まで急伸を続けたものの、4月以降ピタリと止まりました。導入量は一定のペースで増えていますが、認定量と比較すると非常に小さくなっています。

非住宅用太陽光(10kW以上)の単月認定・導入量推移(2012年7月~)

(クリックで大きく見られます)

非住宅用太陽光の単月での認定・導入量の推移です。2013年2月の単月の認定容量は約520万kW、3月には約770万kWと非常に大きな伸びを見せたものの、4月には約40万kWまで急落しました。初年度の高い買取価格(42円/kWh)を確保しようという駆け込み認定が起こり、その反動で4月以降の認定量が落ち込んだと見られます。

また、経済産業省では、非住宅用太陽光において着工が遅れている案件について調査を開始するとしています。

固定価格買い取り制度:太陽光発電、実態調査へ…経産省(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130821k0000m020089000c.html

「FIT導入当初の高い買い取り価格(1キロワット時当たり42円)の権利だけ確保し、当面は発電する気のない業者がいるとみられる」と。こちらの背景については、下記記事をご参照ください。

再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post_8.html


関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
再生可能エネルギーの導入・認定状況(2013年2月末時点)
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post.html

2013年8月8日木曜日

四国電力の値上げについて(通常料金とオール電化)

家庭電気料金:3社の値上げ認可 9月1日から実施
毎日新聞 2013年08月06日http://mainichi.jp/select/news/20130807k0000m020017000c.html
茂木敏充経済産業相は6日、北海道電力、東北電力、四国電力の3社が申請していた家庭向け電気料金の値上げを認可した。値上げ幅は北海道電が平均7.73%、東北電が8.94%、四国電は7.80%。料金体系を抜本的に見直す値上げは東北電と四国電が33年ぶり、北海道電が32年ぶり。いずれも9月1日から実施する。

四国、東北、北海道電力の家庭向け電気料金値上げが経済産業省に認可されました。いずれも9月1日からの実施です。各社で値上げ率や料金設定には差がありますが、ここでは四国電力の新旧料金についてみてみます。

四国電力プレスリリース:電気料金値上げ認可の概要について(pdf)
http://www.yonden.co.jp/press/re1308/data/pr001-01.pdf

四国電力・新旧電気料金比較 単位(円)

(クリックで大きく見られます)

通常料金の従量電灯Aでは、1ヶ月の使用量が11kWhを超え120kWhまでは0.89円/kWh(4.8%)の値上げなのに対し、120kWh~300kWhは1.35円/kWh(5.53%)、300kWh超過分は2.62円/kWh(9.89%)と使用量が多いほど値上げ率が大きくなっています。


(クリックで大きく見られます)

これは、「生活に必要不可欠な電気のご使用への値上げ影響を緩和するため、第1段階料金の値上げ幅を相対的に小さく設定する一方、省エネルギーを促進する観点から、第3段階料金の値上げ幅を大きく設定しております」とのこと。

従量電灯Aでは、最大9.89%値上げですが、オール電化料金の季節別時間帯別電灯(電化Deナイト)では、昼間で約9.2%、夜間は23.9%と値上げ率が大きく設定されています。これは料金値上げされた他の電力会社と同じ傾向です。

値上げ影響額(例)

(クリックで大きく見られます)

従量電灯Aでは使用量600kWh/月の家庭で1ヶ月1135円(7.6%)の負担増。オール電化家庭では、630kWh/月(昼間375kWh、夜間255kWh)の場合、1256円(10.7%)の値上げとしています。ただし、オール電化では昼夜の使用比率や季節による使用量の差で大きく料金が違ってきます。また、この試算はエコキュート(2kW)の場合。前回、「電気温水器とエコキュートの電気使用量」で書いたように、電気温水器ではエコキュートの約3倍の電気使用量となることから、値上げの影響はさらに大きくなります。


関連ページ
四国電力 電気料金値上げのお願い(規制部門)
http://www.yonden.co.jp/denkiryoukin/kisei/
電気料金値上げシミュレーション
http://www.yonden.jp/shisan/page/a100;jsessionid=322B315C41CD65E7F2B522D80BE1784B?0

電気温水器とエコキュートの電気使用量(当コラム内)
http://www.news.enestudy.com/2013/06/blog-post.html

2013年7月22日月曜日

熱中症:道路の熱にも注意 6畳間でストーブ10台分

真夏に日なたで道路を歩いているときに受ける熱は、6畳間で電気ストーブ10台をつけているのと同程度−−。環境省は19日、こんな試算を公表し、屋外では壁や路面の熱にも注意し、木陰を選んで歩くなどの熱中症対策を呼びかけた。
2013年07月20日毎日新聞http://mainichi.jp/select/news/20130720mog00m040009000c.html


前回の記事、「暑さ対策には日射遮蔽から!」の中で、「真夏の日射量は地表面で最大約800W/m2、小型ストーブ1台分に相当」と書きましたが、環境省からより詳しい試算が出ました。

環境省:猛暑に対する街なかでの対応方策について(気温だけでなく、日射や路面からの熱にも注意!)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16924

ポイントは、

人は気温だけでなく、街なかの放射熱(日射や路面からの熱)によって暑さを感じること。

日向と木陰で気温は変わらないものの、木陰の方が涼しく感じる。これは日向では、頭上からの日射に加え、50℃近くに高温化した歩道や車道からの放射熱が足元を包み込むため。気温だけではなく、「放射熱」を考慮する必要があるということです。

また、道路上で放射熱量を計算したところ、900W/m2近くになったとしています。

受熱量にして900W/m2とは、6畳程度の部屋に1,000Wの電気ストーブを約10台使用したときに人が受ける正味の熱量に相当。

と。ここでいう電気ストーブとは下記のような製品↓

AD
山善(YAMAZEN) 電気ストーブ(800W/400W 2段階切替) ホワイト DS-D083(W)
山善(YAMAZEN) 電気ストーブ(800W/400W 2段階切替) ホワイト DS-D083(W)

こちらは最大で消費電力(=発熱量)800W。日向の道路上ではこれが1m2に1台以上付いているという状態。6畳間(約10m2)では約10台を同時に使用した時に人が受ける熱量に相当ということです。



この状態で運動などをすると熱中症になるのも当然と言えます。

また、住宅の暑さ対策でもこの「放射熱」が影響しています。室内への直接の日射侵入だけではなく、住宅周辺のベランダや駐車場、壁などが温められて高温化、この「放射熱」も暑さを感じる要因となります。木陰を作る木を植える、オーニングやヨシズなどの日よけの設置で、路面や壁面の温度上昇を防ぐことが重要です。

また、コンクリートやアスファルトは熱を溜め込む性質があり、日の入り後もなかなか温度が下がりません。夕方以降、日陰になった時間に打ち水をすることで溜め込んだ熱を冷ます効果が期待できます。(日の当たる時間帯ではどんどん熱が補給されている状態なので効果が長続きしません)


関連ページ

環境省:猛暑に対する街なかでの対応方策について(気温だけでなく、日射や路面からの熱にも注意!)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16924
暑さ対策には日射遮蔽から!
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post_18.html
環境情報科学センター:こかげプロジェクト・こかげが涼しい科学的なわけ
http://www.ceis.or.jp/rsd/kokage/reason.html
国土交通省・ヒートアイランドポータルサイト
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_mn_000016.html

「実生活下における住宅の室温調査」報告書
http://www.enestudy.com/2013/07/blog-post_11.html

環境省:熱中症予防情報
http://www.wbgt.env.go.jp/
各地域の暑さ指数(WBGT)の予測値と現在値を公開しています。

NEDO 日射量データベース閲覧システム
http://app7.infoc.nedo.go.jp/
季節、時間帯、方位、角度別の日射量が閲覧できます。

2013年7月18日木曜日

暑さ対策には日射遮蔽から!

梅雨も早々に明け、猛暑まっさかりです。
毎日のように35度近くまで最高気温が上がり、熱帯夜も続いています。熱中症対策にもエアコンの適切な利用を推奨されているように、節電・省エネもなかなか厳しい時期です。

暑さ対策の情報も豊富になってきていますが、ここで強調したいのはとにかく「日射遮蔽」です!

真夏の日射量は地表面で最大約800W/m2になります。これは小型の電気ヒーター1台分に相当。1m2につき、これだけの熱量が降り注いできているわけで、日射をそのまま室内に入れてしまうと室温はその分上がります。

太陽の日射は空気をそのまま暖めるというよりも物に当たることで熱を発します。窓のガラスは日射自体をさえぎる効果はあまりありません。日射が室内に入ると、カーテン、壁、床などに当たり、熱(赤外線)を発します。なので、日射遮蔽は窓の外側が基本。室内側でカーテンなどで遮蔽をしようとしてもカーテン自体が熱を持ってしまいます。どうしても室内側で遮蔽したい場合は反射素材のカーテンなどの使用を。

ペアガラスなど断熱性能の良い家も要注意。ペアガラスでも日射(可視光線)は通してしまい、室内で熱を発します。断熱性能がよいため、外に熱が逃げにくく、余計に室温が高くなる結果となります。断熱性能が良い家ほど日射遮蔽をしっかりと。

また、窓のすぐ外の地面やベランダは非常に暑くなります。窓を開けるとこの温まった空気が室内に入ってきてしまいます。アスファルトの上は60℃程度まで上がることも。



日よけは出来るだけ広く設置し、地表面の温度を低く保つと効果的です。すだれよりも日陰部分が広くなるヨシズ、オーニングなどがお勧め。



さらに忘れがちなのは、北側の窓の日よけ。夏場は日の出入りが北寄りになるため、朝夕は北側にも日が当たります。北側の窓もしっかり日よけを。


科学技術振興機構 宇宙・天文まめ知識より
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0320a/contents/chishiki/answer02/

まだまだ暑さは続きます。コストや効果を考えると日射遮蔽が一番!最近はホームセンター等で様々な日よけグッズが販売されています。ぜひお気に入りの日よけを探してみてください。


参考
「実生活下における住宅の室温調査」報告書
http://www.enestudy.com/2013/07/blog-post_11.html
NEDO 日射量データベース閲覧システム
http://app7.infoc.nedo.go.jp/



enestudy ホームページ
http://www.enestudy.com/
twitter @enestudy

2013年7月8日月曜日

再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング


再生可能エネの計画認定、放置なら取り消しも 経産省
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803Z_Y3A620C1PP8000/
経済産業省は28日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、国から発電計画の認定を受けた事業者がいつまでも発電を始めない場合は認定を取り消す方針を明らかにした。早めに認定を受けて有利な条件だけを確保し、実際にはしばらく放置して建設費の値下がりを待つ事業者が相次いでいるため。
2013/6/28 日経新聞 


先日のコラム「再生可能エネルギーの導入・認定状況」で、固定価格買い取り制度の認定容量は見込みより大幅に多いものの、実際に運転開始された設備は少ないと書きました。これに関連して経済産業省は、設備の設置を行わず放置している事業者の認定を取り消す方針とのこと。

そもそもなぜこんなことになったのか。これには買取価格を決定する時期に原因があります。

経済産業省:再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(平成24年10月)
価格適用について(例:2012fyの価格適用期限)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/2012setsumeikai.pdf#page=35


(画像クリックで大きく見られます)

現在の制度では、買取価格は「接続契約に係る申込みの書面を電気事業者が受領した時」又は「国の設備認定時」のいずれか遅い時点で決まります。2013年3月までは非住宅用太陽光発電の買取価格は42円/kWh(税込み)でしたが、 4月からは37.8円/kWhに下がりました。この場合、2013年3月末までに認定を取り、電力会社に接続の申し込みを行えば、42円の買取価格が保障されます。着工や運転開始時期に制限は設けられていません。また、発電設備や計画時点での転売もOK。

日本での固定価格買取制度が始まるに当たり、42円/kWhの買い取り価格は国際的に見ても非常に高いという感想があちこちで聞かれました。この価格はすぐに引き下げられるということも共通認識。しかも運転開始時期に制限がないため、とりあえず初年度のプレミア価格を確保しようと認定バブルが生じたと言えます。

発電設備の導入費用は普及とともに下がることが確実ですので、着工時期を遅らせることでコストを削減することができる。また、もともと転売目的で認定を取得した業者もいるようです。

現状では、制度の趣旨である再生可能エネルギーの普及とは関係なく、マネーゲームの対象になってしまったようです。経済産業省の認定取り消し方針は、制度の不備は早急に見直そうという意思表明。「裏技」はすぐに封じられてしまいます。しっかり発電する設備を作り、長期間にわたって収益を確保する正攻法をお勧めします。


関連ページ
実現しない発電所構想が続出 太陽光「2年目」の課題(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200E_S3A620C1000000/
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

2013年7月1日月曜日

再生可能エネルギーの導入・認定状況(2013年2月末時点)

昨年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度開始からちょうど1年が過ぎました。メガソーラーを中心に再生可能エネルギーの導入計画のニュースが毎日のように報道されていますが、実際の状況はどうなのでしょうか?経済産業省で公開されているデータ(2012年2月末時点が最新)から導入・認定状況を整理してみます。


再エネ設備認定状況
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
2012年2月末時点
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201302setsubi.pdf

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度開始後の導入・認定状況(種類別、推移)


固定価格買い取り制度開始前(2011年末時点)では、小水力発電が960万kWでトップ。続いて住宅用太陽光(10kW未満)440万kW、風力260万kW。2012年度の導入量(2月末まで)は住宅用太陽光が113.7万kW、非住宅用太陽光(10kW以上)が42.2万kW。その他の種別はほとんど導入量はありません。認定容量では、非住宅用太陽光の1101.2万kWが際立っています。

制度開始後の認定、導入状況の推移


導入量は2012年12月12月からのグラフとなっています。(これ以前に公表された数値が大きく修正されたため)
認定容量が時間の経過とともに大きく伸び、認定容量は2月末時点で1305.9万kWとなりました。しかし、実際に運転開始となったのは166.2万kWと約13%にすぎません。

再生可能エネルギーの発電施設導入には計画から工事、運転開始まで一定の時間がかかるという点を考慮に入れる必要がありますが、現状の導入量の低さにはどの時点で買取価格が決まるかという制度の問題があります。これについてはまた次回。


関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー:固定価格買い取り制度
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
再生可能エネの計画認定、放置なら取り消しも 経産省 (日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803Z_Y3A620C1PP8000/

2013年6月20日木曜日

電気温水器とエコキュートの電気使用量

原発の停止に伴い、電力各社で電気料金値上げが行われています。すでに値上げされたのが東京電力、関西電力、九州電力。現在申請中が東北、四国、北海道電力。家庭にとっては電気料金値上げはもちろん痛手なのですが、特に影響が大きいのはオール電化の家庭です。

各社の電気料金値上げの内容を見てみると、通常料金である従量電灯に比べ、オール電化料金、特に深夜料金の値上げ率が大きくなっています。関西電力の場合、従量電灯の値上げ率が300kWh超過分で約17%なのに対し、オール電化料金である「はぴeタイム」の夜間では8.52円/kWhが10.76円/kWhと約26%の値上げです。

関西電力: 電気料金の値上げ内容
従量電灯A
http://www.kepco.co.jp/s-ryoukin/kojin/menu/dento_a.html
はぴeタイム
http://www.kepco.co.jp/s-ryoukin/kojin/menu/hapie.html

ここで問題になってくるのが、深夜帯に利用する電気式の給湯器。電気でお湯を沸かす給湯器では主に電気温水器とエコキュートの2種類あります。電気温水器は従来型の給湯器で電気ヒーターでお湯を沸かします。エコキュートはヒートポンプ式給湯器で空気の熱を使いお湯を沸かすため効率がよく、電気温水器よりも電気の使用量は約3分の1と言われています。

電気温水器はエコキュートと比べて大幅に電気を使用し、その分電気料金も高くなるわけですが、まだ多くの家庭で使用されています。四国電力の資料によると、電気給湯器契約は2011年度末時点で41万4千口。このうち、省エネ性能が高い「エコキュート」の契約口数は約14万口。6割以上の家庭で効率が悪い電気温水器が現在も使われていると見られます。

四国電力 電気給湯器契約口数
http://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/fact/pdf/fy2013_factbook.pdf#page=6
エコキュートの口数
http://www.yonden.co.jp/energy/environ/data/pdf/data_all.pdf#page=11

実際にどれくらい電気使用量が違うのかを調べるため、enestudyでは2013年2月に愛媛県内にて電気温水器とエコキュートの家庭にて調査を行いました。

electric water heater vs heat pump


青色が電気温水器、赤色がエコキュートの家庭の消費電力です。測定は電力量モニター「はやわかり」を使用しました。給湯器だけではなく、家庭全体の消費電力です。

深夜帯の電気使用量増加が給湯器によるもので、エコキュートの使用電力が最大2.5kWなのに対し、電気温水器は約5.5kW。グラフを見ると差が大きいことが分かります。この日の電気使用量はエコキュートが約10kWh、電気温水器が約30kWhとなっています。電気料金を8円/kWhとすると、1日、1ヶ月の電気代は下記の通り。

エコキュート 約80円/日 約2400円/月
電気温水器 約240円/日 約7200円/月

エコキュートと電気温水器でその差は月に約4800円。電気料金の値上げでさらに差は大きくなります(26%値上げの場合、エコキュート 約3000円/月、電気温水器 約9000円/月 差額約6000円)。ただし、これは2月の測定なので給湯にかかるエネルギー(電気使用量)が最も大きくなる時期。年間では、調査対象家庭のデータから試算したところ、エコキュートと電気温水器の電気料金の差は値上げ前で約4万円/年、値上げ後で約5万円/年となりました。(家庭のお湯の使用状況で電気使用量・電気料金は大きく変わります)

エコキュートは電気温水器と比べて設備費用が高いとされていますが、普及に伴い、価格は下がってきました。


また、以前は井戸水での使用が出来なかったのですが現在は各メーカーで井戸水対応が強化されています(要水質検査)。太陽熱温水器併用型のエコキュートも登場しています。

矢崎エナジー 太陽熱集熱器対応型エコキュート「エコキュート・ソーラーヒート」
http://solar.yazaki-group.com/product/ecocute.html

また、すでにエコキュートを使用している家庭でも、設定や使用方法で節電できる可能性があります。

ダイキン エコキュート節電術
http://www.daikinaircon.com/sumai/alldenka/ecocute/setsuden/index.html
関西電力 エコキュートの省エネ方法
http://www.hapielife.com/ecolife/hotwaterheater.html

節電・省エネが大きな関心を集めてきていますが、意外と見落とされているのが給湯器。値上げ率も大きく、使用量も高い給湯器は光熱費削減の効果も大きくなります。これを機に給湯器の省エネ化も検討してはいかがでしょうか?


関連ページ
電気温水器からエコキュートへの入れ替え後、1年間の節電結果
http://www.news.enestudy.com/2015/11/1.html
電気温水器からエコキュートへの入れ替えによる節電効果
http://www.news.enestudy.com/2014/11/blog-post.html
電気代の上昇について(値上げ、燃料費調整、再エネ賦課金)
http://www.news.enestudy.com/2014/02/blog-post.html
エネルギーの価格 (灯油、都市ガス、プロパンガス、電気)
http://www.news.enestudy.com/2013/11/blog-post.html
四国電力の値上げについて(通常料金とオール電化)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/blog-post.html